PayPay(QRコート+クレジットカード)について書こうと思ったのですが、その前に運営会社の考え方を整理しておきましょう。
Zホールディングス(ZHD)の資料から位置づけを確認する。
2022年10月1日から新たな体制に変わるという事で、(どうせ変わってしまう)現状を整理しても意味ないなと思い、同社決算資料から体制図を抜粋します。
2022年10月の再編内容
- ZHDとソフトバンク(株)が中間持株会社を設立、PayPay社を連結子会社化
- ヤフーからPayPayカードにアクワイアリング事業を移管
- ヤフー直下からPayPay直下にPayPayカード社を移管
「中間持株会社」
親会社であるソフトバンクGの決算資料自体は、完全に投資会社のそれの為、多くは読み解けませんが、同社アニュアルレポートではソフトバンク事業に「(通信会社の)ソフトバンク」と「ZHD」が含まれています。
その両者「ZHD」と「ソフトバンク」が”中間持株会社”を置く理由は、「ZHD」の63.9%を持つ大株主「Aホールディングス」(これもソフトバンクとNAVERの中間持株会社ですが・・・)の存在がある為と理解しています。
大株主の狙いは概ね以下の通りでしょう。
- NAVER側は「メイン:LINE、サブ:決済ビジネス(メインへの送客効果)」
- ソフトバンク側は「メイン:決済ビジネス、サブ:LINE(メインへの集客効果)」
ソフトバンクとNAVER(LINE)側とでは思惑が大同小異の為、中間持株会社を嚙ませることで両社の思惑を満たしつつ、資本関係は整理しやすくしているのだと理解しています。
NAVERとの資本関係の枠組みを維持しながら、PayPayの支配権はソフトバンクGが上回るようになっています。
「アクワイアリング事業」
こちらも「中間持株会社」の項に関連しますが、ZHDにおける各社の位置づけを明確にし、Yahoo!からメディア事業以外を移管した形となります。
アクワイアリング事業とは「PayPay(QR+クレカ)の加盟店業務」を指すと思いますが、これまでの資料でも”あと払い”を前面に打ち出している事から、ZHDは、あくまでPayPayのQRコード決済をメインと考えている事がわかります。
なお、”あと払い”は、「審査して利用枠が設定される事」自体はクレジットカードと一緒で、カードレスです。PayPayのQRコード決済上のみで利用できます(PayPay側から見ると立替払い)。
気軽に申し込めるようですが、結局はクレジットカードの申し込みと変わらない(違いはカードが発行されない事だけ)ので、審査は確りとあります。
「PayPayカード社」
Yahoo!からPayPayの子会社に移管されていますが、決済ビジネスを全てPayPay社に集約する為の再編ですね。
先述の「アクワイアリング事業」と合わせて、カードはあくまでPayPayという決済手段の枠内でのツールの一つとして明確に位置づけたという事になります。
つまり、PayPayカードのターゲット顧客は世間一般ではなくて、あくまでPayPay(広い意味での「ソフトバンク経済圏」)に絞る戦略と言えます。
実際、PayPayカード自体はPayPayポイント1%還元位しか特徴のない、凡庸な1枚となっています。
PayPayと組み合わせても、利得性は微妙ですが・・・
余談「BNPL」
昨今はBNPL(Buy Now Pay Later)が欧米でトレンドとなっています。
Appleも「ApplePayLater」を発表しました。
日本でも「あと払い」の他、メルカリ等でも翌月払いカード不発行或いはカードレス(カード番号等はアプリ上で確認)の決済手段を宣伝していますし、GoogleStoreではSplititと提携して手数料無料で1年分割払いが可能となっています。
多田野もPixel購入時にSplititを利用していますが、確かにSplititの利用自体に審査は不要ですが、支払い完了まで手持ちのクレジットカードの与信枠を確保する為、間接的にカード会社の利用枠チェックが入ります。
この様に、気軽にBNPLと言っても、必ず審査は行われます(利用枠設定時或いは申込時)ので、利用自体は気軽にしないよう留意した方が良いです。利用により得られるメリットとリスクを理解した上で申し込みましょう。
まとめ
以上の通り、ソフトバンクグループのソフトバンク事業の内、決済ビジネス(PayPay)に係る環境を整理しました。次回は中身「PayPay(QRコード+クレジットカード)」の決め打ちに入りたいと思います。
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