SPUの変更はちょくちょく発生していて、特に気にならないものは横に受け流しているのですが、今回のは少しインパクトがあった内容なので、思う所を書いてみようと思います。
変更の大まかな内容について
詳細は公式ページを確認ください(画像は貼っておきますので、必要に応じて拡大表示してください)
変更点は多岐にわたりますが、大きく言ってしまうと以下3点で語り切れると考えています。
- 楽天モバイル契約者に対するポイント倍率↑
- プレミアムカード保有者へのポイント倍率特典廃止&通常分の獲得上限新設
- 全般的に獲得上限の大幅引き下げ
考察は次の章でまとめて書きますので、ここでは3点について、それぞれもう少し細かい話に触れておきます。
①楽天モバイル契約者に対して
これまでダイヤモンド会員かそうでないかで倍率を分けていましたが、これを分け隔てなく+4倍にアップ。ただし、上限が2,000Pに引き下げられたため、月5万円分の買い物でポイント上限に達します。
これまでは20~30万円位の買い物でポイント獲得上限に達しましたので、大きい買い物を頻繁に行う人には影響あるかもしれません。
楽天で毎月20万買い物する人はそうそういないようにも思います。
(せどりで食っている人は困るかもしれませんが)
②楽天プレミアムカード保有者に対して
こちらは楽天モバイル契約者に対する救い(倍率アップ)も全くなく、単純に廃止&制限強化です。
楽天グループでの利用でのメリット感が感じられない楽天カード、楽天カード、楽天ゴールドカードとの差分が減ってしまった楽天プレミアムカードに何のメリットを見いだせるのかが分かりません。
公式にも案内がありますが、その辺は楽天カード側としても認識はしているようで、変更の案内と共に、年会費返金を受け付けています。
プレミアムカードが、単なるプライオリティパスが付いているカード
に成り下がってしまいました・・・。
③全般的なポイント獲得倍率引き下げ
各サービス毎にばらつきはあるものの、イメージとしては楽天市場利用金額が月間5万円あたりからポイント獲得上限を迎える対象サービスが殆ど、でしょうか。多くても月間利用額10万円でポイント獲得頭打ちという所ですね。
今回のSPU変更について考察
多田野はサービス提供側の人なので、基本的に「改悪」という言葉を使う事は滅多にありません。そして今回も使わないかなと思っています。
少なくとも楽天側にとっては、今回のポイント付与減少につながる大きく3点の改定は必要不可欠のものであったともいます。
楽天グループの財務状況が痛んでいる中、極力費用負担なく、最大の足かせとなっている楽天モバイルの契約数増加による早期収益化を目指すという一本の道筋を考えた時、これらの変更は全て筋が通っています。
主だった原因としては以下のようなことが認識されたからではないかと思います。
楽天市場の客層の悪さ
楽天グループ側が、今回の改定について殆どの人の獲得ポイントは増えるかまたは不変(要旨)と語っている通りだと多田野も思いますし、通常一般的に考えられる庶民的なポイ活勢に対しては大きな影響はないと思います。
毎月5万円位楽天で買い物する人を庶民的と置くか?
という議論は置いておいて。
このような改定をせざるを得なくなった理由としては「楽天グループの各種サービス+楽天プレミアムカードを使って、毎月何十万も買い物する人」が想定以上に多かったか、その重さに耐えきれなくなったかが考えられます。
楽天プレミアムカードの商品設計をするに当たっては、当然「これだけ倍率をつけても大丈夫か?採算は取れるか?」というシミュレーションを行ったうえでリリースしているはず。
シミュレーションでは、客層・利用シーン・利用額分布等によって、許容リスクとして判断したはずですが、その試算と相違する現実が起こっているのでしょう(業績悪化で許容リスク自体が変わってしまった可能性もありますが)。
多田野的には、予想以上にポイ活勢やせどり勢が集まり、客層が悪くなってしまった(=儲かる客層ではない)ことが直接的な原因だろうと考えています。
楽天モバイルの赤字が洒落にならない
3大キャリアは既に成熟期・収穫期に入っており(厳密には5G等新規投資は継続していますが)、通信料金以外のサービスコンテンツや、金融業等の水平展開による投資回収フェーズに入っており、安定的です。
一方、楽天モバイルはまだ初期投資も終わっておらず、通信料金も料金プラン(Rakuten最強プラン)が上限付き定額制である特性上、契約者数と収入が比例する状態です。
3大キャリアと違って、太い客がいれば成り立つ
というビジネスは、今の楽天モバイルにはできません。
単純に数で勝負していくしかありません。
ただ、名実ともに最弱といわれる通信品質で3大キャリアと戦うのは無理なので、数少ない優位コンテンツである楽天市場と楽天ポイントの優遇で抱き合わせ販売する方向性は消去法ですがやむをえないかと。
意外性はありませんね。
このままでは楽天グループが持たない
幸か不幸か、三木谷氏は楽天モバイルと心中するつもり(=見放すつもりはない)の様ですので、この先も「モバイル事業切り離しで立て直す」様な策は取らないでしょう。
色々見方はありますが、
それをやっちゃうと、電気通信=公共資産という事もあり、
国民誰も信用してくれなくなる。
経営者として二度と戻ってくることはできないだろうと思います。
(プライドも高そうですし、それは彼には飲めないかなと。)
それが良いか悪いかは分かりませんが、少なくとも楽天グループのサービスは、楽天モバイルの業績をにらみながらグループ共通の財布として緩めるか締めるかを決めていくのだと思います。
楽天証券と楽天カードについて
最後に。
多田野が一番気になっているのはこの2社(銀行も多少は気になりますが・・・)ですが、
楽天証券はSBI証券に(最低限出来る範囲で)追随する戦略をとっている為、体力勝負に持ち込まれると中々苦しいですね。最悪はみずほグループ化もあるかも(カブコム証券の逆パターン)。
楽天カードは、もう一回、各券種の商品設計を定義し直した方がよさそうに思います。例えば、プラチナカードのセグメントを作るか、ブラックカードの申し込み制を許容するか。
「楽天ブラックカード」は、
業界的にはいわゆる”ブラックカード”の位置づけではなく、
せいぜいプラチナカードレベルかなという印象です。
コメント