三井住友カードゴールド(NL)に決めきれない理由【前編】

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ナンバーレスのメリット(カード会社/カード会員視点)

本題に入る前にまずは、「カード会社がナンバーレスカードを推進する本当の理由」を知っていただければと思います。

メリット・デメリット(カード会員視点)

カード会員のメリットはセキュリティ面一択で、利得性のメリットはありません(後述の通り、間接的にカード会社がナンバーレス化で得る利益の一部を享受はします)。

デメリットはセキュリティ面強化の裏返しですので、評価も(同じ事実でもメリットにもデメリットにもなるという意味で)人によりけりかと思います。

特に、スマートフォンでオンライン決済する際にスマートフォンアプリでカード番号等を確認するのは面倒です。

メリット
デメリット
  • 券面からカード番号を盗み読まれない
  • カード番号等が券面を見ても分からない。
  • WEB登録が必須となる

メリット・デメリット(カード会社視点)

ココが非常に重要です。カード会社にとってナンバーレス化のデメリットは基本的になく、メリットしかありません。

  • カード発券の負荷やコストが大幅に抑えられる
  • 「WEBアプリ必須」をカード発行条件とすることで、WEB登録誘導する手間が不要となる
  • 紙のご利用明細書発行負荷が抑えられる

順を追って解説します。

カード発券の負荷やコストって?

エンボス加工の手間・コスト

「ナンバー」とは主に会員番号の事です。厳密には、「会員番号」「有効期限」「会員氏名」の従来のカードで凹っとしている(「エンボス」と言います)部分を指します。※会員氏名はナンバーレスでも省略されず表記有りますが、ひとまず置いておきます。

カード券面は、カード会社が国際ブランド(VISA,Mastercard,JCB等)毎に決められたルール(ブランドレギュレーション)に沿って作成し、国際ブランドの審査に合格しないとカード発行が出来ません。

エンボス部分にも当然ながら細かいルールがあります。ナンバーレス=エンボスレスになれば、エンボスに関わるルール遵守が不要となり、その分負荷が減ります。

また、このエンボス加工は特殊な技術が必要な為、印刷会社(DNP,TOPPAN,共同印刷・・・)が実施しますので、当然対応コストも必要です。

生カード調達コスト

エンボスは前述の通りですが、そもそもカード会社では生カード(カード会員情報の入っていないカード)の在庫を確保しておく必要があります。

エンボスレスの場合、在庫の使いまわし(共通して使えるカード素材*)が可能となる為、発注時にスケールメリット(大量発注による単価引下げ効果)が得られます。*プロパーカードは、ナンバーレスの場合カードランクで生じる差異は色の違いだけです。

一番効率が悪いのが、提携カードです。提携先専用に生カード在庫を確保する為、メジャーな提携先*でない限りどうしても小ロットでの発注となります。*提携先のパワーがある場合、この限りではありません(別の問題が発生しますが、本編とは外れますので、その話題はまたの機会に)。

話を戻しますが、ICチップ搭載の生カードは1枚当たり数百円から数千円位と、結構高額です(半導体入っていますので)。

磁気カードは安価です。プリペイドカードに磁気カード・エンボスレスが多い理由は、カード発券費用が安いからです。

WEBアプリの役割

カード会社と会員の接点

昔であれば、ご利用明細書郵送時の添付チラシや、会員情報誌がカード会社にとっての会員との接点でしたが、以下に記載の通り、現状はデメリットの方が大きくなっています。

主にコスト面が大きいですが、誰もがネットから情報を得られる世の中になった為、会員個々人のニーズの違いに紙媒体ではついていけない(販促ツールとしてリーチできない)が実態です。

  • 紙媒体作成費用や印刷費・郵送費といった会員情報誌発行コストの増加
  • カード会員のライフスタイルの変化(会員のデジタル化へのニーズ
  • 紙媒体の場合、セグメント分けが画一的(「地域毎」等)で販売促進ツールとしては限定的

以上の理由から、カード会社ではWEBアプリへ移行したいのですが、既存の会員に対しては、会員規約上、或いは法令上、会員の同意なしに紙のご利用明細書を廃止する事は出来ません

ですので、紙で提供する場合の有料化やWEB明細への移行インセンティブ付与により、会員の同意を取得し、WEB明細(=WEBアプリ上での閲覧)に誘導しているというのが実状です。

ご利用明細の実態

発行の手間とコスト

一言でご利用明細と言っても、カード種別ごとに表示内容が変わる為、最低限提携カードも含めたカード券種別のバリエーションが必要です。非常にその作成やメンテナンスは手間がかかるのです。

紙のご利用明細発行をカード会社が嫌がる大きな理由としては以下といったところでしょうか。

  • 郵送料の値上がり
  • ご利用明細書が法定書面を兼ねる場合、メンテナンスが面倒(法改正対応等)

郵送料に関しては、AMEXが更新カード等を普通郵便で送付、受領した会員がAMEXに電話でアクティベーションして初めてカードが有効化される、仕組みが国内カード会社でも注目されています。

例えば、三井住友カードが更新カードを普通郵便で発送するという仕組みを2022年3月から始めていますが、カード会社としての本当の理由は郵送コスト節約のためです。

なお、三井住友カードの場合、万一、更新カードが盗まれた場合は悪用可能なようですが、必要コストとして割り切っているようです(「悪用コスト増<郵送コスト削減効果」と判断したと思料)。

「電話でアクティベーション」する仕組みは、新たなフロー(業務・システム共に)を構築しないといけないので、どこの会社でもすぐにできる対応ではないです。

なお、ご利用明細書が紙でも電子でも当然メンテナンスは必要ですが、その手間は電子の方が格段に楽です。

中間まとめ

ここまで「カード発券」「WEBアプリ」「ご利用明細」の3つの観点で、カード会社がナンバーレス化を推進する事情について記載しました。

長くなりましたので、次回、別のコマで「三井住友カードゴールドNL」について触れていきたいと思います。

ナンバーレスカードが基本的にカード会社側の都合で推進されている事だけ覚えて帰ってください。「何のメリットがあるの?」と考えた人の発想は、基本的に正しいです。

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